ITIフォーラム2023(2.14開催)での、アーキテクチャ策定のユーザ事例発表についてコメントします。
アーキテクチャ統括チームの役割と活動状況についての報告であった。
現状のアーキテクチャを概念データモデル、システム鳥観図(論理データフロー)、システム連関図(物理システムとのマッピング)の3点セットで作成し、データが散財している課題を明確にし、データHUBを目的別に構築していった(一部サービスイン、一部開発中)。
データHUBとDWHの分離、疎結合アーキなど中山さんの書籍に感銘し、数回のレクチャーを受けられた。
アーキテクチャ統括チームを編成し、現状の課題を可視化することについて、「取り締まりの警察」ではなく、「かかりつけ医」を目指したというところが印象的であった。かかりつけ医になるとしても、患者の症状を記したカルテがないので、概念モデルからなる全体マップを作成していったという。
さらに、システム主管部からの協力を得るために、アーキテクチャが経営の意思に基づいたものであることを理解してもらいながら進めた。
主管部の協力、理解が得られやすいように、概念モデルも超々概念、超概念、概念の3ステップで作成した。最後の概念モデルでキーや属性が定義されているようだ。
アーキ統括チームのメンバは、各主管システムの現場で全体を俯瞰してみるのが得意な人を選定した。
明らかになった課題は、事前にコンサルから提示されていたものではあったが、自身でアーキ図を作成することによって、自分事としてとらえることができた。
全社アーキというとどうしても統制の色彩が出がちで、周りから警戒されがちであるが、逆に相談を持ちかけられるような「かかりつけ医」を目指したというヒューマンな面での工夫。同時に、概念モデルを作成するのにあたって、主管部に受け入れてもらい易いように、超々概念からの3ステップに分けて進めるというテクニカル面での創意が成功要因であったと考える。