技術情報

2種類のデータモデル

1.データ分析・情報活用DBでの課題

基幹業務系のデータモデルを分析・情報活用系でもそのまま使用しているお客様では 以下の課題を抱えているケースが多くあります

  • 検索/集計処理でSQL負荷が増大し、応答時間がかかっている(アクセス要件
  • 1次検索は、集約形式が多いが、事前にサマリーされていないために処理コストが増大している(集約データ)
  • 過去データ分析、過去実績対比分析用のデータが揃っていない(履歴・実績)
  • 経年でコード体系が変わり、過去実績との対比ができない(小変化次元対応)
  • 複数業務をまたがっての検索・分析では、マスターのコード体系の違いにより、軸設定が容易でない(マスターデータ統合要請)

データアーキテクトでは、そのようなお客さまに向けて、業務用と分析用でデータモデ ルを分けることをご提案しています。

2.2種類のデータモデル

目的に沿ったデータモデル(スキーマ構造)を作成することにより、アプリケーション の簡素化、処理性能の向上が図れます。

  • オペレーショナル・データモデル
    • 対象業務で発生するデータの関連を描いたもの
    • 1factの正規化モデル
    • ビジネス活動中データを保持
    • 登録・更新・参照される
  • ディメンジョナル・データモデル
    • 多次元モデル
    • 統合されたマスターコード
    • データ活用・分析視点からのデータの関連を描いたもの
    • 実績を保持
    • 検索が中心

基幹業務のデータモデルを分析・情報活用業務で求められるデータモデルに変換することができます。

3.データモデル構築手順

2種類のデータモデル構築の標準プロセスは以下の通りです。

データ関連人材定義

当社の考えるデータ関連人材定義

データの管理には多くの組織や個人が関わっています。
当社では、それらの役割や必要スキルについて以下のように考えています。

職務領域のイメージ

タイトル職務と役割知識・スキル
チーフデータオフィサー(CDO)データを企業資産として捉え、 ビジネスに貢献するためのデータ戦略を策定し、運用を担う最高任者。CIOがその役割を担う場合もある。経営知識
業務知識
マネジメント
統率・指導力
データモデリング
データアーキテクトCDOと共にデータ戦略を策定し、それを実現するための データアーキテクチャ(含データモデル)を描く。
データガバナンスのためのポリシーを定義し、ルール策定を行う。
データ管理者、データスチュワード間の調整役を担う。
データサイエンティストと連携を図りデータの戦略的活用を促進する。
データ分析手法
データガバナンス
データアーキテクチャ
データモデリング
メタデータ管理
データ品質
ビッグデータ(非構造化データ)
データ管理者(DA)ビジネス視点から企業活動の結果生じるデータの関連や意味を掌握し、 データの品質を維持する。
概念・論理データモデルおよびメタデータの構築・維持管理を行う。
データアーキテクトおよびデータベース管理者と密接に連携を図る。
業務知識
データモデリング
メタデータ管理
データ品質
データアーキテクチャ
データスチュワード 業務部門に近い立ち位置で、誤ったデータや品質低下を招くデータの混入を防ぐ役目を担う。
データ発生源で、データクレンジングを行い、きれいなデータを基幹システムへ渡すためのデータ番人を担う。
業務知識
データモデリング
データ品質
データクレンジング
データベース管理者(DBA)データベースの設計(主に論理設計以降)と運用管理に携わる。 システムテスト段階でのパフォーマンスチューニングや運用後のデータボリュームや統計情報を監視し、 最適なDBMS環境を維持する。データモデリング DBMS
アプリケーションアーキテクチャ
データサイエンティスト統計学に関する専門スキルや知識を駆使し、膨大なデータ(構造化データを含むビッグデータ) に対して仮説を立てて解析し、最適化を目指す。
その解析結果を事業部門に分かり易く説明できる。データアナリストは、データサイエンティストの業務の一部を担う。
業務知識
データアーキテクチャ
統計学
分析モデル
SQL
ビッグデータ解析技術
データアナリスト データウェアハウス(DWH)やデータマート上に存在するデータをBIツール等を用いて ユーザから要求された分析を行い、結果をレポートする。統計学
分析モデル
SQL
チーフマーケティングオフィサー(CMO)企業におけるマーケティングを統括する最高責任者。 データを如何にマーケティングに活用し、ビジネス利益を創出するかを担う。経営知識
業務知識
マネジメント
統率・指導力
マーケティング
マーケッターデータを活用して自社の商品・サービスを市場に流通させる施策を立案する。マーケティング
統計学
分析モデル
SQL

弊社の考えるデータサイエンティストとは

データサイエンティストは、データアーキテクト/データスチュワードが整備した適正なデータに基づき、ビジネス・統計学・ITの視点を併せ持って新たな知見を見出す職務です。
DXのためのデータモデリング

当社では、DX(デジタルトランスフォー面-ション)を進めるためには、データモデリングが必須と考えています。

DX推進とデータモデリングの相関関係を示しながら、その理由を説明します。

まず顧客、商品、組織といった社内のリソースの現状を把握し、再定義します。

即ち、

①顧客を知り顧客の範囲を定義します

 業務・ブランド毎に顧客マスタが存在しているという事実を把握します

 B2Bをビジネスとしている企業はB2B2Cで消費者までを顧客として捉える必要が新たに発生してくるかもしれません

②自社の商品・サービスを定義します。場合によっては、他社が保有しているものを買ってリソースに加えるという選択肢が出てきます

③社内組織をビジネスプロセスが遂行し易いように変革します。ホールディングスとしての関係会社も含めてということです。

次に、

新たに定義されたリソースを基に、策定されたビジネスプロセスの結果得られるデータを活用するためのデータモデルと基盤を構築していきます

データモデリングを行わずに、個々の業務、ブランド単位でデジタル技術を取り入れたビジネスモデルを構築することはPOCとしては良いでしょうが、ビジネスプロセスの変革を伴わないため、ビジネス効果は低いといえます。

ビジネスプロセス変革のためのデータモデル、データ活用基盤があった上で初めて、デジタル技術(BIツール、AIのための機会学習)、の活用がなされるのです。

データモデリングに関するFAQは

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